フリーランス歴7年になりますが、ふりかえってみて、会社員時代とくらべて気づいたメリット・デメリットについてご紹介します。
目次
会社員・フリーランスの各比較
フリーランス | 会社員 | |
---|---|---|
①契約形態 | 業務委託契約 | 雇用契約 |
②所得の種類 | 事業所得 | 給与所得 |
③医療保険 | 国民健康保険 | 健康保険 |
④雇用保険・労災保険 | なし | あり |
⑤社会的信用 | 低い | 高い |
⑥福利厚生 | なし | あり |
⑦収入体系 | 成果報酬型 | 基本的に固定型 |
⑧自由度 | 高い | 低い |
⑨安定度 | 低い | 高い |
①契約形態
会社員の場合、一般的に会社と雇用契約を結ぶことになるので、仕事の内容や労働時間、休暇などは会社の規定に従う必要があります。
フリーランスの場合、契約した企業と個人事業主間の業務委託契約であるため、特定の企業の労働時間や仕事の内容などに制限されることはありません。
また、業務委託契約にも下記の2種類があります。
契約する企業によって、どちらを採用しているかは異なるため、契約の際は注意しましょう。
【請負契約】
仕事での具体的な成果物に対して報酬が支払われる
【委託契約】
仕事の成果物問わず、業務を遂行することに対して報酬が支払われる
短期の案件や個人レベルで進めていくプロジェクトなどは請負契約が多い印象です。
請負契約を複数案件もつのもいいですが、フリーランスとして継続して生計をたてていこうと思ったら、やはり委託契約を少なくとも1本はもっておくといいかなと思います。
②所得の種類
フリーランスの収入は事業所得にあたるため、毎年の確定申告を自分でする必要があります。
一方、会社員は給与所得になるため、基本的に自分で確定申告は不要ですが、下記を満たす場合は必要です。
会社員で確定申告が必要なケース
- 収入金額2000万円超
- 2か所以上から給与を得ている
- 給与以外が収入が20万円を超えている
- 医療費控除・寄付金控除・雑損控除を受けたい
- 1年の途中で退職して再就職していない
※寄付金控除について、「ふるさと納税」などで控除を受けたい場合は、「ワンストップ特例制度」という、自身で確定申告を行わずとも控除が受けられる制度もあります。
ふるさと納税ワンストップ特例制度
③医療保険
3割負担で医療機関で診療を受けるために、保険証を発行してもらう制度ですね。
それぞれ「国保」「健保」なんていったりもしますが、
フリーランスを含むほとんどの個人事業主が加入する国民健康保険は、住んでる市区町村が保険者になります。
それに対し、一般的な会社員の方が加入する健康保険は、自身が働いているが所属する健康保険団体が保険者となっています。
国民健康保険には扶養という概念がありません。
なので、配偶者(専業主婦・主夫など)や子どもは別に被保険者として加入することになり、
世帯としての保険料が高くなります。
一方で、健康保険は自身の扶養に入れた被扶養者に対しての保険料は発生しません。
また、支払う保険料も勤め先の会社が半分負担してくれるため、
国保と比較して世帯の保険料は安くなります。
ちなみに、子どもの保険加入については、夫婦で所得が大きいほうの扶養に入るのが一般的です。
仮に夫婦でいずれかがフリーランスの場合に、フリーランス側の所得のほうが大きい場合、子どもは扶養に入れることはできないため、別で国保に加入することになります。
うちのよめさんは会社員ですが、夫であるぼくのほうが所得が大きかった関係で、子どもは国保に加入して、その分の保険料を負担することにしました。
④雇用保険・労災保険
それぞれの意味合いは下記のとおりです。
【雇用保険】
仮に、労働者が失業して所得がなくなった場合に失業給付を支給し、生活の安定や再就職促進をはかります。
失業の予防や雇用状態の是正および雇用機会の増大、労働者の能力の開発および向上その他労働者の福祉の増進などをはかります。
【労災保険】
会社での業務中や通勤中に発生したケガ・病気・死亡などに対して保障がおりる保険です。
業務外で発生した場合は健康保険が対象になります。
雇用保険・労災保険ともに、会社員やパート、アルバイトなどが対象です。
フリーランスは自らが事業主であり、雇用される立場ではないため、雇用保険に加入して失業保険を受給することもできませんし、労災保険の適用にもなりません。
⑤社会的信用
圧倒的に会社員の方が高いです!
そのため、住宅ローンを組んだり、銀行からの融資をうけるとき、また、クレジットカードを発行するときなどは、フリーランスよりも会社員の方が審査に通りしやすいです。
フリーランスも通らないわけではないですが、継続して健全に事業を行っているなどの実績や証明が求められます。
実際に、審査を行うときには確定申告書や収入証明書のコピーなどが必要になるケースもあります。
また、「総量規制」といって、借入額や利用極度額についても事業所得(売上から経費等を差し引いた額)の3分の1までしか認められないことが多いです。
なので、仮に会社員からフリーランスとして独立するときは、信用が必要な金融手続きは完了させておくのがベターです。
ぼくも独立後に気づいて苦い思いをしました(笑)
ぜひ独立前に、もしもの時のためにお持ちのクレジットカードの極度額を上げておくこと。
持たれていない場合はつくっておくことをおすすめします。
⑥福利厚生
福利厚生とは、企業が従業員やその家族に提供する、給与以外の援助になります。
会社が人材の確保やその維持あるいはモチベーション向上などを目的としております。
福利厚生の例
- 通勤費の支給
- 社宅の提供・家賃の補助
- 健康診断などの費用負担
- 育休・介護休暇
- 有給休暇
- 慶弔見舞金(結婚祝、出産祝、見舞金、香典など)の提供
- 退職金制度
- その他(社内の部活動支援、自社製品の割引購入、勉強会・セミナーなどへの参加費用負担、など)
フリーランスの場合、これらの費用はすべて自己負担となるため、福利厚生が受けられるのは会社員ならではのメリットになります。
⑦収入体系
会社員は、月給制や年俸制といった固定給の制度が一般的です。
そのため、
自分がいくら売り上げをあげても、それが成果報酬としてダイレクトに収入に反映されるとは限りません。
給料を上げようと思ったら、残業をして上乗せするか、実績を積み重ねて出世することが求められます。
かつ、その出世の枠も限られています。
また、手取り額についても、所得税や社会保険料の天引きが自動的に行われるため、収入によっては手元に残るお金の割合も小さくなります。
フリーランスの場合、収入は完全に出来高制です。
そのため、
安定的に受注がとれ、かつその売上が大きければ大きいほどその分収入は上がりますが、逆に受注できなかった場合は収入がなくなるリスクがあります。
また、自身で確定申告する手間はある反面、業務用と認められる支出は経費計上ができ、社会保険負担の自由度も高いため、対策によっては手元に残るお金も大きくなることもあります。
⑧自由度
フリーランスの場合、
働く時間・場所・内容を加味した仕事を自分で選択することができます。
また、契約を満たす成果を残していれば、自由に休暇をとるのも難しくありません。
上司からの承認なども不要です。
なので、仕事量が少ないシーズンは、数時間だけ働いて残りの時間を自由に使うといった柔軟な働き方も可能です。
会社員のように就業規則で制限がある場合は、このような働き方の実現はなかなか厳しいものがあります。
(新型コロナウィルスの影響下で、テレワークを推進されている企業さんも増えているので、働く場所の制限は緩和されてきた感はありますが)
⑨安定度
収入も仕事も定常的に提供される会社員のほうが高いです。
フリーランスだと、契約先の企業の状況や自身のスキルなどによって安定度合いが変わってくるため、波があります。
そのため、好条件で継続的に契約をいただくには、スキル・実績を上げて信頼を積み重ねていくことが求められます。
個人的な体験としても、独立当初はなかなか案件が受注できなかったり、スキル不足で継続した契約をいただけない時期がありました。
ただそこであきらめず、スキルを身に着けながら営業力を磨いて、いただいた仕事に対して誠実に取り組み続ける姿勢をとおして、次第に信頼を得るようになってこれたかなと感じます。
どちらが向いている?
これまでの比較を踏まえた上で、フリーランス・会社員それぞれの適性をあげてみました。
どちらが正解・不正解ということはありませんが、自身の求めるライフスタイルに合った働き方の方が、快適に仕事も続けていけるのではないでしょうか。
【フリーランス】
- 自分のパフォーマンスに見合った対価を得ていきたい
- 管理下におけるお金を増やしていきたい
- 生活の安定や保障を自分の力で築いていきたい
- 制約にしばられず自由な働き方を求める
- 仕事の人間関係を選びたいという
【会社員】
- 長期的に安定した収入を得ていきたい
- 働く場所や時間、人間関係はある程度決まっているほうがいい
- 仕事をつくるより与えられるほうがいい
- 社会的な信用や保障を大事にしたい
- 個で動くよりコミュニティ全体で動くほうがいい
まとめ
今回は実体験を通して、フリーランス・会社員のそれぞれの魅力について紹介しました。
最近では、会社員であっても、ダブルワークや副業を許可している企業さんも増えてきたように感じます。
会社員の仕事をしながら、業務外の時間にフリーランスで副業をはじめてみる。
フリーランスの仕事をしているけれども、時間に余裕があるので、さらなるキャリアアップをはかって新しい仕事をはじめてみる。
など、柔軟に働き方を再選択して、理想のライフスタイルを描いてみると面白いでしょう。
また、転職・起業に際してライフプランを見直したいという方は、お問い合わせお待ちしております。